空調設備の省エネ対策|すぐできる工夫から設備の見直しまで解説

建物で使うエネルギーの中でも、空調設備が占める割合は大きいといわれます。電気代を抑えたいと思っても、がまんして止めるだけでは快適さが損なわれ、長続きしません。この記事では、空調設備の省エネ対策を、費用をかけずにできる運用の工夫、手入れ、設備の見直しの順に整理して説明します。

空調設備の省エネの基本

空調設備の省エネは、次の3つの考え方に分けられます。

  • 負荷を減らす:部屋に入ってくる熱や、逃げていく熱を少なくする
  • 効率を保つ:機器が本来の性能を出せる状態にしておく
  • 無駄をなくす:必要のない時間や場所での運転を減らす

省エネというと高性能な機器への入れ替えを思い浮かべがちですが、その前にできることが多くあります。費用のかからない対策から順に進めるのが基本です。

知っておきたいポイント

1. 運用の見直しはすぐに始められる

まず取り組みたいのが、日々の使い方です。

  • 設定温度を極端に下げすぎない、上げすぎない
  • 使っていない部屋や時間帯の運転を止める
  • ブラインドやカーテンで日差しを遮る
  • 扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
  • 出入口を開けたままにしない

暖かい空気は天井付近に、冷たい空気は足元にたまります。空気を循環させると温度のムラが減り、設定温度を無理に変えなくても快適に感じやすくなります。

2. 手入れは効果の大きい省エネ対策

フィルターにほこりがたまると、吸い込む空気の量が減り、同じ温度にするのに余計な電気を使います。定期的なフィルター清掃は、手軽で効果のある対策です。

室外機のまわりにも注意が必要です。物を置いて風の通りをふさぐと、熱をうまく捨てられず効率が落ちます。熱交換器の汚れも同じ影響を与えるため、専門業者による洗浄を検討するとよいでしょう。

3. 部屋に入る熱を減らす

窓は熱の出入りが大きい場所です。遮熱フィルムや断熱性の高いガラス、ひさしなどで、冷暖房の負担を減らせます。照明をLEDに替えると、照明から出る熱が減り、冷房の負担も軽くなります。

換気による熱のロスが大きい建物では、全熱交換器の導入も選択肢です。排気する空気の熱を回収して、取り入れる空気に移します。

4. 設備の更新と制御の導入

古い設備は、新しい機種に比べて効率が低いことがあります。更新によって電気代の削減が期待できますが、効果は機種や使い方によって異なります。

消し忘れを防ぐタイマーや、建物全体の運転をまとめて管理する装置、使用状況を記録して見える化する仕組みも、無駄を見つけるのに役立ちます。

注意点・よくある勘違い

「28℃」「20℃」は設定温度ではなく室温の目安

環境省は、快適性を損なわない範囲で省エネを目指すための目安として、夏の室温28℃、冬の室温20℃を示しています。これはリモコンの設定温度ではなく、実際の室温のことです。

設定温度を28℃にしても、日当たりや機器の熱で室温がそれより高くなることがあります。温度計で室温を確かめ、体調や作業内容に合わせて無理のない範囲で調整しましょう。

こまめなオン・オフが省エネとは限らない

エアコンは、運転を始めて設定温度に近づけるまでに多くの電気を使います。短い外出のたびに止めると、かえって消費が増えることがあります。一方、長時間使わないときは止めたほうが有利です。どちらがよいかは、建物の断熱や外気温によって変わります。

換気を止めて省エネにしない

換気を止めれば冷暖房の負担は減りますが、室内の空気の質が悪くなります。必要な換気は確保したうえで、他の方法で効率を上げることが大切です。

がまんを前提にしない

暑さ寒さをがまんする対策は、体調を崩す原因になり、仕事や接客の質にも影響します。快適さを保ちながら無駄を減らす、という順番で考えましょう。

まとめ

  • 省エネは、負荷を減らす、効率を保つ、無駄をなくすの3つで考える
  • 使い方の見直しとフィルター清掃は、費用をかけずに始められる
  • 窓の遮熱やLED照明は、冷暖房の負担を減らす
  • 古い設備の更新や制御の導入も、効果的な選択肢
  • 28℃・20℃は室温の目安で、設定温度のことではない

まずは現在の使い方と機器の状態を確認し、できることから一つずつ取り組むのが近道です。

出典:環境省「エアコンの使い方について」

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